本稿について
Robert SamsのA Note on Cryptocurrency Stabilisation: Seigniorage Sharesを読みます。
今回の範囲は「Valuing Seigniorage Shares」です。原文はこちらになります。
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今回のまとめ
- シェアの価値は収入の流れの正味現在価値(NPV)以上にはならず、供給率の差をシニョリッジ期間の割引率で割ったものの級数として等式5のようにモデル化可能である。
- コインとシェアの二重のモデルによりコイン需要の二面性を協調するように描くことができる。
※以下、今回まとめた範囲の和訳になりますので詳細をご覧になりたい方は読み進めてください。
シニョリッジシェアの評価(Valuing Seigniorage Shares)
まるで公正な価値のシェアを見積もるための何らかの"希少価値"のモデルが必要であることから、最初このスキームは風変りに見えるかもしれない。しかしこれは全く当てはまらない。シェアのポジションは実際にはただ将来のコイン供給の増加に対する請求権であり、まるで収益を生む資産であるかのように価格付けできるからだ。
次の投資戦略を考えてみよう。Δiが正であれば投資家はオークションでポジションのΔi/(PISQIS)パーセントを売却する。Δiが負であればオークションでシェアを購入することでポジションをΔi/(PISQIS)パーセント増やせる。この結果、投資家は発行済みシェア供給の「一定率(fixed percentage)」のポジションを保持し続けるので、永久に一定率のΔ1, Δ2,...に対する請求権を有する。従ってシェアの価格は収入の流れの正味現在価値以上であることはない。ゆえに時点tにおけるシェア価格は、
である。ここでriは将来i番目のシニョリッジ期間に適用される割引率である。
どんなNPV分析でも同じように、級数が有限の値に収束するためにはriがΔiの増加率を超えていなければならず、この変数は当然ながらどちらも市場参加者の主観的な予測である。キャッシュフロー永久性のある(株式など)どんな市場でも同じであるように、評価尺度はこれまでの級数のΔtとPtに対する変数の予測を調整するように考案されている。
もしブロック報酬のあるプルーフオブワークに沿ってコインの設計がなされるのであれば、代わりに総和の分子部分はΔi-αi(N)である必要がある。ここでαはコインのブロック報酬、Nはリベート期間のブロック数である。ステーブルコインのスキームはよい副作用を持っており、ブロック報酬の市場価格は(そしてそれゆえにそのネットワークセキュリティへの貢献は)コインの価格で上下する代わりに明示的に定義できる。これはBitcoinのようなプロトコルに見られるとおりである。
コインとシェアのデュアルモデルにより、投機家には彼らが実際に評価できる市場がある。そしてマネー需要の二重のモチベーションを調査できるようになった。コインはCDTのオブジェクト、シェアはCDSのオブジェクトであり、そしてCDの二面性はマネタリーの陰陽のように協調して動くことが可能であって、決定論的なコイン供給ルールを持つ単一コインスキームのようにCDSがCDTを駆逐してしまうようには動かない。
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