簡単まとめ

Robertのシニョリッジシェア論文を読んでみる10(終)

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本稿について

Robert SamsのA Note on Cryptocurrency Stabilisation: Seigniorage Sharesを読みます。

今回の範囲は「Solving the Other Problem」の「Endogenous models」です。また、参考文献を掲載します。原文はこちらになります。

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今回のまとめ

  • 内因性のモデルの場合、無作為に選ばれた商品/資産インデックスに対して通常は安定であるより汎用的な定義のコインを目標とすると、PoWチェーンの場合、「手数料」と「ディフィカルティ」にコインの安定性に関する情報が含まれていると思われる。手数料の変化もディフィカルティの変化も演算にかかるコストが一定だとすれば、コイン価格に関する関数として表現することができる。
  • 現在はハッシュ化の最適化の進歩速度が著しく、演算コストが大きく動くためコストを一定とする仮定とは齟齬があるが、将来的に最適化の速度が予測できるレベルに落ち着けば手数料とディフィカルティをもとにコイン価格Piをやはり表現可能である。

※以下、今回まとめた範囲の和訳になりますので詳細をご覧になりたい方は読み進めてください。

もう一つの問題の解決(Solving the Other Problem)(続き)

内因性モデル(Endogenous models)

外因性モデルと全く異なる戦略が、私が内因性安定化モデルと呼ぶものだ。何らかの商品/資産のインデックスに関するコイン市場価格についてコインを安定させるということが安定化のとりうる唯一の形というわけではない。目標はインデックス化すること自体ではなく、安定性そのものである。前項でほのめかしたように、理想的にはコインが何に対して安定であるべきかということは必ずしも分かっているパラメータではないし、時間とともに変化するだろう。しかしこのノート全体を通して暗黙のうちに"安定性"を相対的な意味で定義している。つまり価格インデックスに関しての安定性だ。だが、何らかの堅牢な安定性の概念、つまり完全にランダムに選ばれた広範にわたる商品/資産のインデックスに関して普段は安定であるコインを目標として設定してもいいだろう。

しかも、もしかするとプロトコル自体に内在する情報がこのより汎用的な目標を達成するのに十分かもしれない。このコインがプルーフオブワークのブロックチェーンに基づいているとすると、候補となる2つの変数が浮かび上がる。「トランザクション手数料(transaction fee)」の平均水準とハッシュ化の「ディフィカルティ(difficulty)」だ。いまこれら2つの変数がシステムの外の世界に対して持っている情報は、プロトコルが定義する手数料モデルとハッシュ化のアルゴリズムに基づく。だが、私は間違いなくこれら2つの変数はコインの安定性に関する情報を持っているものと確信している。

手数料:もしブロックサイズ上限がないか、上限があっても一般にマイナーにトランザクション取込量の制限を強制しないものであるとすれば、手数料はトランザクションのバリデートにかかる平均コストにバリデートするノードの数Nを掛けたものに収束すると仮定できる。従ってトランザクションのバリデートにかかる計算コストが一定であるとすれば、平均的な手数料水準の変化がコイン価格の変更と(または)バリデートノード数Nの変化のどちらかを表しているとするのは理に適っている。

ディフィカルティ:手数料と同様のパターンである。GHs/kWh(筆者注:電力消費量あたりのハッシュ計算量)が一定であるとすれば、ディフィカルティの変化はコイン価格の変化を表している。なぜならハッシュパワーはハッシュ化にかかるコストがマイニング報酬の市場価格と一致するまで投入されたり取り除かれたりするからだ。

この2つの変数に含まれる市場の情報は、ハッシュ化に関するハードウェアの最適化の著しい進歩によりとてつもなく曖昧になっている。しかし、最適化の速度は将来的には大まかに予測可能なレベルまで落ち、最終的にはCPUやGPUの設計が影響を受ける同一条件で管理されるようになる(フォトリソグラフィ等)と考えるのは不合理だろうか。

もしそうだとすれば、最も堅牢なソリューションは手数料やディフィカルティの観点から定義されるPiで、ハードコードされたムーアの法則のような何らかの仮定によりデフレするものではないだろうか。これによりシステムの外の世界についての市場のファクトを表現する必要性を全て回避し、ステーブルコインスキームを自律的かつ自己参照的にしておくことができる。

だが問題1(筆者注:最小限の信頼を必要とする方法でいかにしてネットワーク内部でコイン価格Piを表現するか?)を解決するこれらすべての提案は不確かな推論であり、確信なんて欠片もない。本当に困難な問題である。

参考文献

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免責

邦訳には誤りがある場合がございます。予めご承知おき下さい。

確実な情報を知るためには冒頭に示した原文をご参照くださいますようお願いいたします。

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