調査

HoneyBadgerBFTプロトコルを見てみる1

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本稿について

The Honey Badger of BFT Protocolsを読みます。バージョンは20161024:215945です。

今回の範囲は「Abstract」と「1. Introduction」の序文です。原文はこちらになります。

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HoneyBadgerBFTプロトコル

Andrew Miller:イリノイ大学アーバナシャンペーン校
Yu Xia:清華大学
Kyle Croman:コーネル大学
Elaine Shi:コーネル大学
Dawn Song:カリフォルニア大学バークレー校

※以下、今回まとめた範囲の和訳になりますので詳細をご覧になりたい方は読み進めてください。

要諦

驚嘆するほどの暗号通貨の成功は、ラージスケールで非常にロバストかつBFT耐性のあるプロトコルを金入取引等のミッションクリティカルなアプリケーションにデプロイする関心を一気に高めた。PBFT(やそれに類するもの)などの弱同期的プロトコルの上に構築することが一般的になっているが、このようなプロトコルはネットワークのタイミングアサンプションに非常に強く依存しており、ネットワークが予想通りにふるまう場合にしかライブネスを保証しない。こういった性質を持つプロトコルは上述のようなデプロイシナリオには不適当であると考えている。

私たちは代案としてHoneyBadgerBFTを紹介する。これは初の実用的な「非同期(asynchronous)」BFTプロトコルで、一切のタイミングアサンプションを必要とせずにライブネスを保証する。このソリューションは最適な漸近的有効性をもたらす最新のアトミックブロードキャストプロトコルに基づいている。また実装と実験結果を紹介し、私たちのシステムが毎秒数万のスループットを出せることと、広域ネットワーク上の100を超えるノードに対してもスケーリングすることを示す。さらに、パラメータをいじらずにTorでもBFT実験を行う。他のプロトコルと異なり、HoneyBadgerBFTでは純粋に基盤ネットワークを気にせずにすむ。

1. はじめに

分散型のフォールトトレラントなプロトコルは、金融取引データベースなどのミッションクリティカルなインフラにとって有望視されているソリューションである。以前よりこれらのプロトコルは比較的小規模に、そして典型的には敵対者の攻撃が主たる関心事にはならない単一機関による管理ドメインでデプロイされてきた。例を挙げると、GoogleのフォールトトレラントなロックサービスであるChubby[14]は5ノードからなり、最大2ノードの故障までは耐えられる。

ここ数年で、Bitcoinの目を見張るような成功[43]を皮切りに"暗号通貨"や"ブロックチェーン"と呼ばれる新しい形態の分散システムが誕生している。このような暗号通貨システムは驚異的かつ効果的なブレークスルーをもたらし[12]、分散システムに関する理解についての新たなる一章の幕開けとなった。

暗号通貨システムはフォールトトレラントなプロトコルのデプロイ環境について私たちが従来より信じてきたものを打ち破ろうと挑戦する。昔の"Google内部の5Chubbyノード"の環境とは違い、暗号通貨は多数のノードがお互いを信頼せず、さらにはネットワーク接続がLANよりもはるかに予測できないか敵対的でさえあるかもしれない広域ネットワークに対する新しいコンセンサスプロトコルの需要を明らかにし、シミュレートする。この新しい設定が興味深く新しい課題を突き付け、私たちにフォールトトレラントなプロトコルの設計の再考を促している。

ロバスト性は第一級のオブジェクト

暗号通貨は他のどんなものよりも、時にはパフォーマンスを犠牲にしてでもロバスト性を優先する普通ではない動作点の要求と実行可能性を示す。実際にBitcoinは分散システムの標準ではひどいパフォーマンスである。トランザクションがコミットされるのに平均して10分かかるし、システム全体としてのスループットは毎秒10トランザクション程度である。しかし昔ながらのフォールトトレラントなデプロイシナリオと比較すると、暗号通貨はやる気十分の悪意ある攻撃が予期される(ありふれた攻撃に限らない)非常に敵対的な環境下でもうまくやる。それゆえに多くの熱狂的なBitcoinサポーターは"Honey Badger of Money(カネのラーテル)[41]"と呼んでいる。ロバスト性の要求は「非中央集権性(decentralization)」のの要求としばしば密接に関連付けれるという点を付け加えておく。というのも非中央集権性には基本的なたくさんの多様な参加者が広域ネットワークに参加することが必要だからだ。

レイテンシよりもスループット

スケーラブルなフォールトトレラントプロトコルに関して現存する最大の研究[6, 49]は、単一機関による管理ドメインがコントロールするLAN環境におけるスケーラビリティの最適化が焦点である。帯域幅プロビジョニングは有り余っているので、これらの研究は(暗号の)演算の削減やコンテンション方式(同一オブジェクトに関して競合するリクエスト)での応答時間の最小化によく焦点をあてている。

対してブロックチェーンは応答時間やコンテンションが最も重要なファクターではない金融アプリケーション、例えば決済やセトルメントネットワークなどの層で興味を掻き立てている[1]。実際にいくつかの金融アプリケーションでは、潜在的なロールバック/チャージバック操作を勘案して取引のコミットに意図的にディレイを加えている。

これらのアプリケーションはレイテンシが重要な問題ではないが、銀行や金融機関は大量のリクエストを支えられるようにするため、ブロックチェーンテクノロジの代わりになる「高スループット(high-throughput)」なものに関心を示している。例えばVisaは平均で2000tx/秒であり、ピーク時には59000tx/秒を誇る[1]。

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