本稿について
本稿では、VergeのBlackpaperのうち「4.Electrum」の邦訳を掲載します。
原文はこちらになります。
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4.Electrum
Electrumの強みは、速度とシンプルさで、リソースの使用量が少ないことです。Electrumはセキュアなリモートサーバーを使い、Vergeネットワークの最も複雑な部分に対応するとともに、ユーザが秘密のシードフレーズでウォレットを復元できるようにします。これはユーザがオフラインと同様の方法で自身のコインの全部または一部を入れておけるようにするものです。さらには、ElectrumはネーティブTorとI2Pのサポートを提供する唯一のウォレットの一つです。ElectrumをTorやI2Pと統合することにより、デスクトップまたはモバイルウォレットを使いながら匿名性を達成することができます。IPアドレスとトランザクション情報はどちらもセキュアで接続しているサーバーに漏洩することはないので、ユーザのプライバシーを向上させます。
ライアントが初めて他のクライアントにコンタクトしたいとき、完全に分散化された「ネットワークデータベース」(Kademlia algorithmに基づくカスタムされた構造化分散ハッシュテーブル(DHT))に対してクエリを実行します。これは他のクライアントのインバウンドトンネルを効率的に見つけるために行われますが、両者の間の後続データには通常その情報が含まれるため、さらなるネットワークデータベースの参照は必要ありません。
Electrumはマルチシグネチャをサポートすることができます。マルチシグネチャはElectrumのトランザクションをオーソライズするために1つ以上の鍵を必要とするものです。Vergeネットワークの通常のトランザクションは「シングルシグネチャトランザクション」と呼ばれますが、それは送金が1つだけ署名(Vergeアドレスと紐づく秘密鍵の所有者から)を必要とするからです。マルチシグネチャをサポートするElectrumのトランザクションは、コインの送金前に複数人の署名を必要とします。それから、Vergeは何らかの操作をするためには複数の異なるパーティのアドレスが提供される必要があります。
例:あるElectrumウォレットがあなたがよく使うコンピュータにあり、もう一つのElectrumウォレットがスマートフォンにあります。このとき、コインは両方のデバイスの署名無しに使うことはできません。従って、あなたのコインを盗むためには、攻撃者は両方のデバイスのアクセスを取得しなくてはなりません。
Electrumウォレットの重要な特徴
- 決定論的な鍵生成
ウォレットを失っても、シードから復元することができます。あなた自身の失敗からあなたを守ります。 - 即時開始
クライアントはブロックチェーンをダウンロードせず、サーバーからのブロックチェーンの情報を必要とします。遅延はなく、常に最新です。 - ローカルでサインされたトランザクション
あなたの秘密鍵はサーバーと共有されません。あなたのコインのあるサーバーを信用する必要はありません。 - 自由とプライバシー
Electrumサーバーはユーザアカウントを記憶しません。また、あなたは自身の秘密鍵をエクスポートできます。あなたが自身のアドレスの所有者であるということです。
(次稿に続く)
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免責
邦訳には誤りがある場合がございます。予めご承知おき下さい。
確実な情報を知るためには冒頭に示した原文をご参照くださいますようお願いいたします。