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Liquidホワイトペーパー日本語訳5

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本稿について

BlockStream開発のLiquid(Strong Federations)のホワイトペーパー、最終更新日: 2017/1/6時点のものを対象とします。本稿では「IV. Use Cases」の日本語訳を掲載します。

原文はこちらになります。

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4. ユースケース

Strong Federationはブロックチェーンユーザが日々直面する問題、つまりトランザクションのレイテンシや商業的なプライバシー、ファンジビリティ、信頼性などの問題に対する技術的なソリューションとして開発された。これらの問題を避けるべく、ブロックチェーンの多くのアプリケーションでStrong Federationが求められるだろう。そのうちの2つをここで取り上げる。

A. 国際取引所とLiquid

Bitcoinはいま送金やクロスボーダー決済を促進しているが、技術的かつ市場的ダイナミクスがパフォーマンスの妨げとなっている[29]。パブリックなBitcoinネットワークの高いレイテンシにはbitcoinが複数の取引所や仲介環境に縛られている必要がある一方で、限定的なプライバシーにより運営コストが嵩む。マーケット細分化のせいで、ローカルのbitcoinの通貨取引は流動性のなさの影響下にある。結果、多くの商業エンティティは明らかな高頻度取引手法の実行を選ぶ[20]。Bitcoinの生来の制限を回避しようとするこれらの取り組みは、中央集権化やその他の欠陥のせいで弱点が入り込んでしまう[29]。

私たちはbitcoinを活用して国際取引所をより効率化するLiquidと呼称する具体的なソリューションを開発した。ソリューションは図5に示す。そしてLiquidはStrong Federationの最初の実装である。Strong Federationとして、Liquidはその他のもっと中央集権化したシステムよりも強力な信頼モデルで(とはいえ、Bitcoinよりも弱い信頼モデルではある)[30]、最先端のセキュリティと信頼の仮定を有し、Bitcoinのブロックチェーンよりもはるかに低レイテンシにする余力がある。いまではこの実装により、1分でのブロック生成が可能になる。第3章のBで述べたように、事前コミットに要する時間やネットワークトラバーサルの合意の閾値時間も低減することができる。このトレードオフは新たな行動を可能にし、Bitcoinブロックチェーンも中央集権的なサードパーティも提供しえなかった商業的なニーズを汲み取るためにやるだけの価値がある。

Liquidはファンクショナリーがネットワークに参加する取引所であるようなStrong Federationで、アセットはAliceからBobに移されるいくらかの通貨である。図5に示すように、AliceがBobに送金したいときは、BobはAliceが望む取引所にコンタクトする。その取引所のローカルノードは、Liquid Strong Federationでのトレードに前向きであるその取引所の適切なノード探しに協力し、Bobにアセットを移動する。条件、つまり交換レートと実行時間の公証を行い、結果をAliceに知らせる。Aliceが同意すればアセットはBobに移される。通常は非常によく似たスキームがブロックチェーンで行われているが、ただ一点トランザクションはネットワーク全体で承認されなければならないので、確定にものすごい遅延を引き起こす。Liquidはサイドチェーンで運営されるので、マルチシグを用いて仮にStrong Federation参加者の11人中8人が確定に同意すれば、Bobはお金を受け取れる。

Liquidにおけるレイテンシの減少はトランザクションのファイナリティスピードの上昇につながる。すると、トランザクションの確定にかかる時間(これはアービトラージの成功や送金操作の重要な要素である[31])中のbitcoin価格変動リスクも低下する。受取人は最終的にはじめの送信者のbitcoinを受け取るが、売却時間により近づけて実行することで明確な割合の下降変動リスクを緩和する。

アービトラージのコストを削減する送金時間の減少のおかげで、Liquidの参加市場はまるで単一のマーケットであるかのように機能する。さらに、Liquidのアセットは比較的遅延も少なくオンランプ・オフランプともに複数の法定通貨で利用可能であり、送金者は2箇所以上で価格平価の異なる通貨で法定通貨にすることができる。本質的にLiquidは、ネットワーク構造の結果として取引サイクル内で様々に変化するエンドポイントにおいて保有するお金に関する資本制限を下げる。

取引所や仲介業の運営に内在するbitcoinの保有リスクを一つの組織による単一障害点から組織の連合へと移すことで、Liquidはネットワーク内で保有する資金の根本的なセキュリティを向上させる。通常は明らかなカウンターパーティリスクに影響を受ける資金のセキュリティが向上することで、LiquidはBitcoin市場全体の根本的な信頼性を改善する。プライバシーの向上は秘匿トランザクションを採用したおかげである。これはStrong Federationの追加仕様で、第5章でさらに論じる。これはシステムのユーザにより強力な商業面でのプライバシー保証を与える。

LiquidのようなStrong Federationはプライバシーやレイテンシや信頼性を、サードパーティの信頼により入り込む弱点にユーザを曝すことなく改善する。ビジネスプロセスをLiquidに移すことで、ユーザは効率性と資本準備金の要件も改善できるだろう。

B. その他の金融テクノロジ

現在の金融サービス提供の相当の割合が運営に関して信頼できる仲介業者(信頼が失われた場合は共通の法的インフラ)や中央集権的なシステムに依存している[32]。これらは、セキュリティと信頼性を提供するBitcoinなどの新しく公に検証可能なコンセンサスシステムに取って代わられる可能性がある[33]。

一例を挙げると、流動性プロビジョニングはプライムブローカレッジや投資銀行の主要なビジネスモデルである[34]。ファンドマネージャは投資管理に関連するコストの削減を行い投資機会と流動性にアクセスしやすくする前提で、一か所のカストディアンに自身の資金をコミットする。そして、サードパーティのブローカーディーラーは各参加者にそれぞれの取引相手の流動性を利用する許可を出す。単一の信頼できるサードパーティカストディアンの下での資本集約機能である[35]。このシステムは顧客が一か所で取引相手と売買やヘッジトレードできるようにすることで、投資家に流動性への優先的なアクセス手段を提供する。これらの中央集権的なシステムはマーケット参加者へ利便性をもたらすが、リスクがないわけではない。そのようなリスクの実例の一つが、リーマン・ブラザーズの債務不履行の後に発生した世界金融危機につれて起こったユーロシステムのリスクである。33個の複合証券で担保されるアセットを弁済するユーロシステムの取り組みには4年を超える歳月がかかり、10億ユーロ超のお金を失った[34]。

このようなシステムから生じる暗黙的な中央集権化と信頼への依存はStrong Federationで解決できる。Strong Federationは所有権を主張する際の信用の要素を排除し未担保のアセットの取引を防ぎながら、既存・新規どちらのシステムのメンバでも監査できる。さらにアセットの所有権は公に証明・検証可能である。

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