本稿について
Origo Scalable Privacy Preserving Platform For Decentralized ApplicationsのVersion 0.1、最終更新日: 2018/5/5時点のものを対象とします。本稿では「Chapter 8. Cryptoeconomics Design」の日本語訳を掲載します。
原文はこちらになります。
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8. クリプトエコノミクスの設計
8.1. 設計原理
かつてのtorrentプラットフォームのような非中央集権型システムは、例えば他者がダウンロードできるようネットワークとファイル共有するためのシードを保持しておくといったルールにユーザが従う経済的インセンティブが欠如していたことで失敗した。Bitcoinは、ユーザがルールに従うのみならずビザンチン将軍問題を克服して完全なコンセンサスシステムを作り上げる適切でクリプトエコノミックなメカニズムを確立することで、これらの非中央集権的なシステムを改善した。
Origoプラットフォームでは、ルール(本章で後述)はプライバシーにまつわる問題にフォーカスしている。一例を挙げると、情報漏洩やプライバシー保証のスマートコントラクト実行のアボートといったスマートコントラクトのプライバシーに関連するあらゆるふるまいは、作為か不作為かを問わずOrigoの各役割が行うことはないといったことである。Origoのルールに基づいてコンセンサスを形成するために、インセンティブメカニズムだけでは不十分で、PoWやPoSのようなコンセンサスアルゴリズムは懲罰メカニズム(ネガティブなインセンティブ)が欠けていて"二重支払い"や"Nothing-at-Stake問題"を引き起こしうる。従って、OrigoはBFTとステークベースのブロックチェーンコンセンサスを組み合わせたハイブリッドコンセンサスを適用する。
8.2. インセンティブと役割
まず第一に、Origoのコンセンサスは表8.1に示す2つのインセンティブセットからなる。
Origoでは以降の議論のためにインセンティブを次のように表すこととする。
- トークン報酬:R1, ..., Rnで表す。n番目のパーティのトークン報酬はRnとする。
- 支払い:P1, ..., Pnで表す。n番目のパーティの支払いはPnとする。
- 保証金:D1, ..., Dnで表す。n番目のパーティの保証金はDnとする。
- 懲罰:Pun1, ..., Punnで表す。n番目のパーティの懲罰はPunnとする。
さらに、プラットフォーム上に4つの役割を定義する。
- バリデータ:証明の検証やブロックの検証のような様々なタスクを実行するためのコンピュテーションパワーをプラットフォームに提供する役割を果たす者を指す。Vi ∈ Vで表す。Viはブロックのマイニングまたは一定のタスクの実行後にトークン報酬RViを受け取る。
- ユーザ:プラットフォーム上でコントラクトやDappsを利用する者を指す。Ui ∈ Uで表す。UiはスマートコントラクトやDappsを介して保証金DUiを預け入れ、さらに(または)サービスやプロダクトの対価としてPUiを支払う。また、このようなメカニズムが開発者により作られている場合はコントラクトやDappsを介してUiもトークン報酬RUiを得る。
- コントラクトまたはDappの開発者:プライバシー保証のスマートコントラクトやDappsの開発者を指す。Devi ∈ Devで表す。Deviはコンピュテーションリソース利用の対価としてPDeviを支払い、スマートコントラクトやDapps生成の対価としてトークン報酬RDeviを得る。
- 実行者:ZKPでプライバシー関連タスクを実行する者を指す。Ei ∈ Eで表す。不正行為を防ぐため、EiはOrigoによりDEiの保証金の預け入れを強制され、そうしない場合は懲罰PunEiを受ける。また、Eiもプライバシー関連タスクの完了後にトークン報酬REiを得る。
インセンティブセットが各役割で働くようにするために、次のものが根幹を成すプロトコルである。
1.Origoプラットフォームのあらゆるアクティビティiに関して、次の式が常に成り立つ。ここで、DUi、PUi、PDevi、DEi、RMi、RUi、RDevi、PunEi、REiは常に0以上であるものとする。
2.Origoが需要供給の法則に基づいてプラットフォーム上でDUi、PUi、PDevi、DEi、RVi、RUi、RDevi、PunEi、REiの正しい量を次の式のように決めているあいだ、常にプラットフォームの持続性が保たれる。
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