本稿について
本稿では、DFINITY White Paper:Consensus Systemのうち第9章「SECURITY ANALYSIS」の9.3「Near-Instant Finality」の日本語訳を掲載します。
原文はこちらになります。
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9 セキュリティ分析(続き)
9.3 ほぼ即時のファイナリティ
ファイナリティはアルゴリズム1によりもたらされる。この項ではこのアルゴリズムの正当性を証明してから、通常のオペレーション条件下でファイナリティが高速に得られる主要定理として示す。
次のことを思い出してほしい。
- リレーポリシーに従って、公証は他全ての誠実なレプリカに到達する。
- (9.2)で述べた通り、ブロックが誠実に署名されているならば、公証済みの直前のブロックはネットワークを満たす。
- ブロックが誠実に署名されているならば、リレーポリシーの定義9.4b)のもと、nt Bは再度ブロードキャストされる。
補題9.17
zr-1はラウンドr - 1についての既に参照されている公証であるとする。このとき、以下が成り立つ。
証明
Brをnt Br = zr-1であるような公証済みブロックとする。Brは誠実な署名を受け取るので、_τ(Br) ≤ ーτ(r + 1)が言える。Brはzr-1を含むので、_τ(zr-1) ≤ _τ(Br)が言える。これが真ならば、ーτ(zr-1) ≤ _τ(zr-1) + Δ ≤ ーτ(r + 1) + Δである。□
定理9.18
T ≥ 2Δとする。誠実なレプリカそれぞれについて、レプリカはアルゴリズム2のFINALIZE(h)を実行する前に、レプリカは参照されうるラウンドhについての全ての公証を受け取っている。
この主張はまさしく正当性の仮定(6.1)である。
証明
zr-1はラウンドr - 1についての既に参照されている公証であるとする。(9.10)及び(9.3)から、次が得られる。
特に、任意の誠実なレプリカiについて、
これは、τi(r + 1) + 2Δよりも後に誠実なレプリカiに辿り着いたラウンドr - 1についてのあらゆる公証は参照されえないということを表す。アルゴリズム2は時点τi(r + 1) + TかつT ≥ 2ΔでFINALIZE(h - 1)を呼び出す。よって、この主張は示された。□
系9.19
BlockTime ≥ 2Δを仮定する。また、zr-1はラウンドr - 1についての既に参照されている公証であるとする。このとき、以下が成り立つ。
証明
(9.5)より、_τ(r + 1) + BlockTime ≤ _τ(r + 2)である。従って、(9.11)により、ーτ(zr-1) ≤ _τ(r + 1) + 2Δ ≤ _τ(r + 2)である。□
BlockTime ≥ 2Δであるならば、(9.13)はアルゴリズム2のFINALIZE(r - 1)をいつ実行するかに関して代替となる要件を提示する。これはTを必要としない。ラウンドr + 1にてTを待つ代わりに、このファイナライゼーションプロシージャは単純に観測者から見てラウンドr + 1が終了するのを待つ。
定理9.20(主要定理)
通常のオペレーション条件下のラウンドrにおいて、ラウンドrのブロックに含まれる全てのトランザクションは、2コンファメーション+最大のネットワークラウンドトリップタイム2Δのあと、観測者に関して確定される。
定理9.3の証明
ラウンドrは通常のオペレーションであるとする。つまり、ラウンドrについてただ一つのブロックBrだけが公証されるものとする。観測者はT = 2Δを選択したとする。ラウンドr + 1についての公証を確認したあとの時点Tで、観測者はラウンドrをファイナライズする。Nr(ラウンドrについての受信した公証済みブロック全てのバケツ)はBrだけを含むので、この時Brは確定のチェーンに追加される。
(筆者注)
- アルゴリズム1はブロック公証について処理を記述したアルゴリズム。詳細はDFINITYホワイトペーパー日本語訳7を参照。
- (9.2)は、ブロックBが誠実に署名されているならば、その公証済みブロックprv Bは最終的にネットワークを満たす、ということ。詳しくはDFINITYホワイトペーパー日本語訳13を参照。
- (6.1)は、FINALIZE(h)が実行されるとき、Nhには参照されうるラウンドhの全ブロックが含まれている、ということ。詳しくはDFINITYホワイトペーパー日本語訳9を参照。
- (9.3)は全てのラウンドrについてーτ(r) ≤ _τ(r) + Δであるということ。(9.5)は全てのラウンドrについて_τ(r) + BlockTime ≤ _τ*(r + 1)であるということ。詳細はDFINITYホワイトペーパー日本語訳14を参照。
- 定義9.4a)、b)はリレーポリシーに関する定義。全ての誠実なレプリカは次のアーティファクトをリレーする。
- a)その時点のラウンドで:有効なブロック提案と、ブロック提案に対する有効な署名
- b)あらゆるラウンドで:公証と、公証済みブロック
- 詳しくはDFINITYホワイトペーパー日本語訳13を参照。
(DFINITYホワイトペーパー日本語訳14 ←← 前)|(次 →→ DFINITYホワイトペーパー日本語訳16(終))
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