Raiden Network本家のFAQページをもとに、Raiden Networkについて見ていきます。
これを読むとRaiden Networkと他のプロジェクトとの違いや関連性についてざっくりと知ることができます。
要点まとめ
まず、本記事の要点をお伝えします。
- Lightning Networkとの違いは取り扱う暗号通貨/トークンである。
- Lightning NetworkがBTCのみをサポートするのに対してRaiden NetworkはERC20トークンをサポートする。
- シャーディングとの違いは技術の対応領域とトランスファーの性能である。
- シャーディングはトランザクション全体をスケーリングする技術であるが、Raiden Networkはトークンのトランスファーのみに特化した技術である。
- トランスファーに限定して見たとき、Raiden Networkはレイテンシ、コスト、プライバシーの点でシャーディングよりも優れている。
- Plasmaとの違いは技術の対応領域とトランスファーの性能である。
- Plasmaはサイドチェーンの階層木構造を使ってトランザクション全体をスケーリングする技術であるが、Raiden Networkはトークンのトランスファーのみに特化した技術である。
- トランスファーに限定して見たとき、Raiden Networkはレイテンシ、コストの点でPlasmaよりも優れている。
- IOTAのタングルとの違いは計算の容易さである。
- タングルはトランザクションのマイニングと検証が1プロセスに統合されていて計算が煩雑だが、Raiden Networkのトランスファーは楕円曲線暗号の計算を1回するだけでよい。
- RaidEXはRaiden Networkのトークンのアトミックスワップ機能をベースとする、DEXの概念実証である。
- Trustline Networkは将来的にRaiden Network上に構築される可能性がある。
- EVMをサポートしているブロックチェーンであれば、Raiden Networkと併用することができる。
- 将来的にPolkadotやDfinity、Cosmos、Hyperledger Burrow、EOS等と協力して動く可能性はある。
次に詳細としてRaiden Network本家による英文FAQページの日本語訳を掲載します。細部を知りたい方は読み進めてください。
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他プロジェクトとの比較(Comparison to other projects)
Lightning NetworkとRaiden Networkの違いは?(How is it different from the Lightning Network?)
Raiden NetworkはLightning Networkと非常によく似ています。Lightning Networkと比較して異なる点は、Lightning NetworkがBTCのトランスファーに限定されているのに対してRaiden Networkは全種のERC20トークンをサポートしている点です。
シャーディングとRaiden Networkの違いは?(How is it different from Sharding?)
シャーディングとは、基本的にはステートを分割して複数のチェーン上に配置することで、Ethereumが全体的なトランザクションのキャパシティを大きくスケーリングできるようにするテクノロジです。シャーディングは重要かつ必要な改善策で、Raiden Networkを補完します。シャーディングはスケーリングを支援する一方で、Raiden Networkと比較すると、トークンのトランスファーに関するレイテンシやコスト、プライバシー特性の点では一歩及びません。シャードを使ってトークントランスファーのキャパシティをスケーリングするためにはクロスシャードコミュニケーションが必要です。そして、クロスシャードコミュニケーションはいっそう低速で、Ethereum本体でのトランスファーと同じくらい高額だと思われます。シャーディングは重要ですが、トークントランスファーに関しては最適なソリューションではありません。
PlasmaとRaiden Networkの違いは?(How is it different from Plasma?)
Plasmaは、サイドチェーンの階層木を使ってトランザクションのキャパシティをスケーリングしようというコンセプトです。シャーディングと同様、PlasmaはRaiden Networkほどのレイテンシや低手数料といった特性は提供できないでしょう。Plasmaの実装はRaiden Networkを補完するものとなるでしょう。
IOTAのタングルとRaiden Networkの違いは?(How is it different from IOTA’s tangle?)
タングルは新しく、そして面白いテクノロジです。しかし、いくつかの側面で不明瞭な点があります。
トークントランスファーに関して、いまのところのタングルの実装では多くの計算リソースが必要です。なぜなら、トランザクションのマイニングと検証が1プロセスにまとまってしまっているからです。これにより、タングルはスマートフォンやIoTデバイスのような計算パワー面で非力なシステムにとってひどく不適なものとなってしまっています。対照的に、Raiden Networkのトランスファーは1つの楕円曲線署名を演算するだけでよく、素早く作成できます。
RaidenプロジェクトとRaidEX分散取引所はどんな関係なの?(How is the project related to the RaidEX decentralized exchange?)
RaidEXは、Raiden Networkのアトミックトークンスワップ機能に基づいてRaiden Network上に構築された分散取引所の概念実証と言えます。
RaidenプロジェクトとTrustline Networkはどんな関係なの?(How is the project related to the Trustlines Network?)
Trustline Networkは、もともとRippleのアイデアあるものをEthereumに実装するものです。RaidenもTrustline Networkもチャネルネットワークのアイデアをもとにしており、補完的なものです。どこかの時点で、Raiden Network上にTrustline Networkを構築するかもしれません。
Raiden Networkを他のブロックチェーンと一緒に使うことはできるの?(Can the Raiden Network be used with other blockchains?)
Ethereum仮想マシンをサポートしているブロックチェーンであれば、そのブロックチェーンのAPIと協調して動くように手動で変更を行ったあと、Raiden Neworkを使うことができます。本件は現次点の開発においては焦点ではないものの、Raiden NetworkがPolkadotやDfinity、Cosmos、Hyperledger Burrow、EOS等と協力して動作するというのは合理的です。