Raiden Network本家のFAQページをもとに、Raiden Networkについて見ていきます。
これを読むとRaiden Networkの概要などをざっくりと知ることができます。紹介ページから概要をピックアップしているこちらの記事と合わせて読むと理解が深まるかもしれません。
要点まとめ
まず、本記事の要点をお伝えします。
- RaidenはEthereumのスケーリングを目標とするオープンソースプロジェクトの総称、Raiden Networkはそれを実現する技術でオフチェーンのトランスファーネットワークを指す。
- Raiden Networkは「スケーラビリティ」「レイテンシ」「トランザクション手数料」「プライバシー向上」の点で優れている。
- 筆者注:こちらの記事では、「即時性」「低手数料」「スケーラブル」「プライバシー保証」な点がメリットと書いたが、それぞれスケーラビリティ=スケーラブル、レイテンシ=即時性、トランザクション手数料=低手数料、プライバシー向上=プライバシー保証で対応しているので一貫している。
次に詳細としてRaiden Network本家による英文FAQページの日本語訳を掲載します。細部を知りたい方は読み進めてください。
スポンサードサーチ
Raiden Network概観(Raiden Overview)
Raidenって何?(What is Raiden?)
Raidenとは、ステートチャネルテクノロジを使ってEthereumのスケーリングを行うことを目的とするオープンソースプロジェクトです。
Raiden Networkって何?(What is Raiden Network?)
Raiden NetworkはEthereumのERC20トークン向けに開発されているオフチェーンのトランスファーネットワークです。オンチェーンのトークントランスファーに代わる高速かつスケーラブルで安価なサービスを提供します。同時に、Raiden Networkのトランスファーでは、ユーザに対しブロックチェーンと同様にファイナリティとセキュリティ、非中央集権性を保証します。
Raiden Networkはどんな問題を解決してくれるの?(Which problems does the Raiden Network solve?)
Raiden Networkはオフチェーンペイメントチャネルネットワークを活用して、Ethereumブロックチェーンにおける以下のような課題に対応します。
スケーラビリティ(Scalability)
ブロックチェーンはうまくスケールしていません。現在ある公開されていてパーミッションのないブロックチェーンでは、1秒間に一定の小さな数を超えるトランザクションを処理することはできません。Ethereumでは、1秒間に約10トランザクションで限界であることが明らかになっています。定数係数で1ブロック当たりの演算上限を引き上げるような短期的なスケーリングソリューションでは、途切れずに続く主流化をサポートし続けることはできないでしょう。
Raiden Networkはユーザ数でスケーリングするペイメントチャネルテクノロジに基づく決済システムを提供します。それはすなわち、Raiden Networkが巨大化するにつれて、スループットの最大値も上昇するということであり、目下、実質的な上限はありません。
レイテンシ(Latency)
ブロックチェーンは低速です。現在、Ethereumはおよそ15~30秒ごとに新しいブロックをマイニングします。トランザクションの実質的なファイナリティに至るまでには、数分の確認時間がかかるのを我慢しなくてはなりません。このことはユーザエクスペリエンスを著しく損ねるとともに、主流化を妨げます。
Raiden Networkトランスファーはテキストメッセージと同じくらい高速です。署名付きのRaiden Networkトランスファーを受け取るとすぐに、当該トランスファーに入っていた額を自分が保有していると確信できます。何ら確認がなされるを待つ必要はないのです。
トランザクション手数料(Transaction fees)
ブロックチェーンの利用は高額です。ブロックチェーンの処理が上限に達すると、今日のBitcoinのように、ブロックに十分高い手数料を含めることが競争上の努力となってしまいます。Ethereumも例外ではなく、最終的には多くの確認時間と1トランザクションあたり数ドルほどの高いトランザクション手数料になってしまうでしょう。グローバル、非中央集権化、信頼できるコンピュータの観点からすれば、このことは非常に有害です。
Raiden Networkのトランスファー手数料はオンチェーンのトランザクション手数料よりも数桁安くなるでしょう。グローバルコンセンサスに対して支払をする代わりに、回送のピアトゥピアコンセンサスに対してだけ支払いをすればよいのです。安価な手数料により、高額なトランザクションコストのせいで以前は現実的ではなかった幅広い新ユースケースが可能になります。特に、IoTとマシントゥマシンの経済はごく少額のトランスファーができるようになることで成り立ちます。Raiden Networkは、こういったアプリケーションにとって非常に有力なペイメントレイヤになることを目標としています。
プライバシー向上(Improving privacy)
Ethereumのトランザクションは公開されていますが、Raiden Networkのトランスファーは支払主・受取主・トランスファーを回送してくれるノード間での秘匿されたものとなります。チャネルのセトルメントを行った場合、トランザクションの合計だけが公になります。