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マネックス・コインチェック共同記者会見まとめ

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Monex GroupがCoincheckを買収

2018/4/6(金)、Coincheck株式会社がMonex Groupの完全子会社となったとのニュースが舞い込んできた。

各社の発表は以下の通り。

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記者会見内容まとめ

そのうちlogmiあたりに全て文字起こししたものが上がると思うので、かいつまんで書く。
(4/7追記:全文がlogmiに上がったようです。)

冒頭挨拶、松本より

  • 株式100%取得による完全子会社化。コインチェックはマネックスグループの一員として事業を展開。マネックスとしては、過去19年に蓄積されたノウハウをコインチェックに活用してもらい、さらに発展させてもらいたい。
  • 経営体制は、監督機能と執行機能をしっかり分離する。
    • 監督機能(取締役会)について、代表取締役は勝屋敏彦(マネックスグループ常務執行役)、取締役は上田雅貴(マネックスグループ執行役)、松本大(マネックスグループ代表執行役)、久保利英明(弁護士、日比谷パーク法律事務所代表パートナー、JPX社外取締役)、玉木武至(元東京三菱銀行常務取締役)の5名で構成。この取締役会がコインチェックに対する監督機能を担う。
    • 執行機能(経営陣)は、社長は勝屋敏彦、執行役員は上田雅貴、後藤浩(現マネックス証券執行役員)、三根公博(現マネックス証券執行役員)、和田晃一良(現コインチェックCEO)、大塚雄介(現コインチェックCOO)、木村幸夫(現コインチェックCFO)の7名で構成。
      • 後藤浩:システムに関する長い経験有
      • 三根公博:コンプライアンス・法規管理で長い経験有
  • 4/6時点では株式譲渡契約等を結んだのみ。法のクリア等の問題があるので、4/16に効力発生、株主総会、臨時取締役会の実施を行い、新経営体制をスタートさせる。
  • サービス全面再開と業登録は、2ヶ月程度を目標。
  • クリプトアセットバンク機能と、世界の金融市場を繋ぐ証券機能を中核とした、世界をリードする、新しい時代の新しい形の総合金融機関を創っていく。
    • 法定通貨については、それを扱う銀行があり、そのグループ内に証券会社やクレジットカード会社があり総合金融機関が創られている。それに対して、仮想通貨については、クリプトアセットの所有機能とクレジットカード等を超える全く新しい支払い機能を有するコインチェックと、マネックスの国内外に留まらないオンライン証券の子会社(アメリカ、香港、オーストラリア、中国等)を組合わせて全く新しい総合金融機関を創っていく。
  • Coincheckでは将来、IPOによる外部牽制の導入を目指す。
    • 仮想通貨交換業の本質が銀行に近いものになっていくことが予想される中で、資本を強くすることは重要であり、内部管理体制を強固なものにするためにも外部牽制が重要。

冒頭挨拶、和田より

  • 新経営体制のもと、経営戦略や経営管理態勢、内部管理態勢、経営体制等について見直しを図っていく。それを以て、まず顧客の資産保護を優先し、その後、業務の再開や仮想通貨交換業登録を目指す。
  • 和田と大塚は取締役からは退任するが、引き続き執行役員として業界発展や顧客資産の保護を目的に責務を果たしていく。

質疑応答

Q1
①経営統合のシナジー効果について、両者の顧客特性をどう考えているか。
②買収金額36億円はCoincheckの収益力や資産内容から考えると安いように感じられるが、コインチェックの経営か資産の中に何かリスクがあるのか。(テレビ東京)

A1
①松本:シナジーについて、特にFX取引をする層を中心にオーバーラップはあるだろう。両社でそれぞれ開設されている口座数は約170万、稼働口座数は70万程度と思われるが、これは相当な規模であり異なる顧客層もいると考えている。特に若年層では仮想通貨の顧客の方がはるかに多いと思われる(マネックス証券の採用などでも株式には触れたことがないが仮想通貨は所有しているという学生も多い)。また、マーケット的には、金の5%を超える時価総額となっており重要な資産クラスであるので、両社の顧客にとって新しい投資機会を提供可能である点に置いてシナジーは高い。また、コインチェックの新技術と、マネックスの堅牢な技術(保管技術)の面でもシナジーはあると考えている。
②松本:特段のリスクが潜んでいるとは考えていない。短期間でデューデリジェンスをしたうえで確認済みである。コインチェックが業登録ができるのか否かという点で、コインチェック株の買い手と売り手の認識には大きな差がある。これをearn outという方法で認識のギャップを解決したため、見た目上36億円という数値になったのであり、コインチェックのリスクが大きいとか、収益力が小さいということではない。

Q2
①和田に:とって今のお気持ちは。問題を起こしたとはいえ、成長企業の株主を手放すことについて躊躇はなかったか。
②松本に:よい買い物をしたという考えはあるか。またコインチェックの名称はこのまま残るのか。(テレビ朝日)

A2
①和田:特にない。
③松本:コインチェックの名前はこのまま残る。M&Aについては、よい買い物という視点ではなく、共に新しいサービスを創っていくことにエキサイトしていて、素晴らしい契約ができたと考えている。

Q3
①マネックスは現在の仮想通貨市場をどのように捉え、どう変革するつもりで買収に踏み切ったのか。
②Monero、DASH、Zcashの3種の匿名仮想通貨を取り扱い対象から外すことは、コインチェックをマネックスの完全子会社化したあとでも金融庁の登録を得るために必要だと考えているか。また、NEMの取扱いについて(Coinpost)

A3
①松本:仮想通貨は重要な資産クラス。真正性や保管性の問題が解決されればもっとメジャーになると考えている。コンプライアンスや既存の枠組みを理解して市場を大きくしていくことについて、コインチェックや仮想通貨業界が認識され安全なものになっていくという面では手伝える部分があると考えている。
②和田:秘匿性の高い仮想通貨やAugurについて、現時点で何か決定した事実はない。また、完全子会社化が関係してくることでもない。金融庁から指摘のあったマネーロンダリング等のリスク評価を行い、新経営体制の意思決定の中で決断するプロセスになる。NEMについては引き続き取り扱う。

Q4
①NEMの補償の現状と訴訟リスクをどのように見ているか。
②直近の利益について数字を教えてほしい。(日経新聞)

A4
①大塚:全ユーザに対し補償完了。 松本:訴訟について、増えていない。
②松本:まだ確定した数字はない。

Q5
①今回の経緯を教えてほしい。
②マネックスは以前、仮想通貨取扱業者を買収しようとしたことはあるか。(WallStreetJournal)

A5
①松本:事故直後に、手伝えることはないかマネックスから連絡した。3月半ば頃にコインチェック側から連絡があり、話を進めた。
②松本:ない。

Q6
マネックスグループは静岡銀行から25%の出資を受けていて、銀行のグループ会社になると思うが、銀行法等規制等の兼ね合いの整理は(日経新聞)

A6
松本:本件は金融庁と相談のうえで行っている。高度金融化事業の個別案件として整理され、銀行の枠組みの中であっても、マネックスグループの中で本件の実施が可能であると認識している。

Q7
①マネックスグループとしての仮想通貨交換業者の申請はなくなったと考えて良いか。
②買収という形で参入することのメリット・デメリットは。(個人)

A7
①松本:コインチェックが傘下に入ったため、マネックスクリプトバンクの申請は取り下げる。マネックス証券の申請は、レバレッジのないCFDのような形の新プロダクト(コインチェックが提供するプロダクトとは異なる)であるので可能性はあるが、何か決定した事実はない。
②松本:リスクは管理できるが、コインチェックは仮想通貨交換業の先駆者で世界的なブランド、顧客基盤、技術、人材は簡単に作ることはできない。

Q8
①仮想通貨交換業登録まで2ヶ月という期間について根拠はあるのか。サービスの全面再開は交換業登録後か。
②今後どのようなビジネスを展開していくのか。(読売新聞)

A8
①松本:2ヶ月は目標。ただ、前進している事実を考えると、2ヶ月でできるであろうという感触はある。また、一般的に言って、全面再開と業登録はセットだろうと考えている。ただし、いずれも行政当局が決定する内容である。
②交換所・販売所が中核であるが、新しい支払い手段や新しい金融機関といった展開を考えている。

Q9
①NEMの補償額460億円について、マネックスグループの関与はあるのか。
②和田に:他の会社は候補としてあったのか。マネックスグループに決定した理由は。(NewsPicks)

A9
①松本:NEMの補償は既に完了している。マネックスグループはコインチェックの債権債務は全てを包括的に継承するので、今後はグループ全体の問題として取り組んでいく。
②和田:NEMの補償はコインチェックの自己資金から行ったことは補足しておく。具体名は言えないが、他の会社は候補としてあった。マネックスグループに決定した理由は、経営管理態勢は重要があるが、ある程度のスピードも競争力の面で重要と考えていて、マネックスグループであれば両立が可能と考えたから。

Q10
①松本に:和田さんを取締役から降ろした理由は。
②和田に:NEMの補償に自社売却は関係しているのか。(共同通信)

A10
①松本:コインチェック経営陣は高く評価している。金融庁とのやり取りをしてきた中で、経営管理態勢を作成すべきという社会的要請があり、新経営体制が要請に応える上で最良と判断した。会社が安定して伸びた未来において、再度和田が社長になるような可能性はある。
②和田:直接の関係はないが、間接的に関係がある。すなわち、NEM流出の根本的な原因は経営管理態勢の甘さであり、その解決のための子会社化という点では関係がある。

Q11
①松本に:コインチェックについては問題もあると思うが、どういう点が問題で、底上げできるか
②和田に:執行役員からも外れるという選択肢はあったのか。執行役員としてどの部分に注力するのか(朝日新聞)

A11
①松本:金融の世界では最近でも大きなリスクを内包し、改善して動いていた。そういった経験が、コインチェックや仮想通貨業界の発展に貢献できると信じている。
②和田:現在の経営体制では難しいと考え取締役から外れた。一方で、仮想通貨業界の発展を目指して事業を継続してきた中で一定の貢献をしてきたつもりである。その中でコインチェックのサービスを運営するにあたり、執行役員として残り下した決断を取締役会で緩衝することで安全にサービスを提供できると考えている。和田の担当は開発である。

Q12
①コインチェックの現在の社員数はいくらか。社員を増やす予定はあるのか。
②勝屋に:なぜこのタイミングで代表取締役を受けたのか。抱負は。(読売新聞)

A12
①大塚:現在104名。採用は積極的に進める。
②勝屋:グループとして、第二の創業を掲げ、約半年前に仮想通貨交換業に取り組むことを打ち出していて、今回の件はその中心でありやっていかなければならないと考えている。抱負としては、第1にユーザの信用を取り戻すこと、第2に信用してもらったうえで信頼を受ける企業にしていきたい。そして業界に貢献できる企業にしていきたい。また、技術動向やインテリジェンス、ネットワークに傾注して進めたい。

Q13
①買収金額について、3年間利益をシェアしていくと書いてあるが、「一定の事業上のリスクを排除して」とも書いてある。このリスクとはどういうリスクか。

A13
①松本:マネックスグループの株主の観点から考えると、当初3事業年度の当期利益の半分がマネックスグループに広義の意味で属するということであり、そのあとは100%になる。もともとの株主に関しては、今回の最初の株の値段のほかに今後3年間、当期利益の半分引くことの事業リスク等となる。これは訴訟等含まれるが、そう考えると、株主にとってはファーストロスが既存株主によってカバーされていることになるので、期待値で考えると、追加のロスは発生しないと考えている。

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