本稿について
様々なブロックチェーンにインスピレーションを与えているプロトコルBitcoin-NG(Bitcoin Next Generation)の論文を見ていきます。本稿では「6. Metrics」の後半を見ます。
原文はこちらになります。
スポンサードサーチ
今回のまとめ
- ブロックチェーンの評価指標:公正性
- 公正性は「トランザクションのうち最大のマイナーのものとそれ以外のマイナーのものの比率」と「マイニングパワーのうち最大のマイナーが持つものとそれ以外のマイナーが持つものの比率」を比較する。マイニングパワーの比率(後者)とトランザクションの比率(前者)が等しければその公正性は1.0で、最適である。
- ブロックチェーンの評価指標:マイニングパワー利用率
- これは「全マイニングパワーのうち、システムの安全担保の使用されるマイニングパワーの比率」である。これが高ければ攻撃が難しくなる。システムの安全担保以外に費やされるマイニングパワーは含まない。
- ブロックチェーンの評価指標:プルーニングにかかる主観的時間
- これは「あるブランチの遷移を知ってから、そのブランチがプルーニングされたこと(=それ以外の他のチェーンがメインチェーンであること)を知るまでの時間差」である。この考えは、あくまで将来的にプルーニングされるブランチに対してのみ適用されるのであり、メインチェーンの遷移には適用されない。
- 簡単に言えば、可能性の一つして存在していた遷移が実際にはないことが確定するまでの時間。
- ブロックチェーンの評価指標:勝ちにかかる時間
- これは「あるブロックを生成してから、それと対立するブロックが存在することを知るまでの時間差」である。
- 簡単に言えば、他の遷移がある可能性があることを知るまでにかかる時間。
※以下、今回まとめた範囲の論文和訳になりますので詳細をご覧になりたい方は読み進めてください。
6. 指標(続き)
公正性(Fairness)
次の2つの比率(1)全てのトランザクションに関して、最大のマイナーからのものではないトランザクションの比率と(2)総マイニングパワーに関して、最大のマイナーが握っているものではないマイニングパワーの比率を計算する。これらの2つの比率の比率を「公正性(fairness)」と呼ぶ。
最適な場合、公平性は1.0である。つまり、遷移における最大のマイナーとそうでないマイナーの出現が、それぞれのマイニングパワーと等しくあるべきである。
マイニングパワー利用率(Mining Power Utilization)
プルーフオブワークシステムのセキュリティはそれをセキュアにするために用いられるマイニングパワーに由来する。すなわち、不均衡なコントロールを得るために攻撃者が上回らなければならないマイニングパワーであると言える。「マイニングパワー利用率(mining power utilization)」は総マイニングパワーとシステムをセキュアにするマイニングパワーの比率である。ブロックチェーンに現れない仕事に費やされるマイニングパワーはこれには該当しない。
プルーニングにかかる主観的時間(Subjective Time to Prune)
ナカモトコンセンサスの確率的な性質のために、ノードはステートマシン遷移を知ってから後になってこの遷移が本当は起きていなかったと分かるということがある。これは履歴からプルーニングされたためだ。これはBitcoinにおけるプルーニングされたブランチに当てはまる。
「δ時間でプルーニングする(δ time to prune)」とは、ノードが最終的にはプルーニングされることになる遷移を知った時間と、遷移が実際には起きなかったことを知った時間との間のδパーセンタイルの差である。これは、遷移が起こったことが確実であるためにはユーザがどれだけの時間待たねばならないかを示す。この指標は最終的にプルーニングされる遷移のみを考えている点には注意されたい。図5はナカモトブロックチェーンの例を示したものである。
勝ちにかかる時間(Time to Win)
「δ時間で勝つ(δ time to win)」とは、決してプルーニングされることはないと思われる遷移が発生したと初めてノードが確信した時間と、(別の)ノードがそれに合意せず他の遷移が発生したことを確信した最後の時間との間のδパーセンタイルの差である。不合意がなかったり、後者の時間が先だったりすればこの差は0である。図5にBitcoinプロトコルの例を示す。
(Bitcoin-NG論文を見てみる10 ←← 前)|(次 →→ Bitcoin-NG論文を見てみる12)
免責
邦訳には誤りがある場合がございます。予めご承知おき下さい。
確実な情報を知るためには冒頭に示した原文をご参照くださいますようお願いいたします。