本稿について
COSMOSのホワイトペーパー、最終更新日: 2018/4/7時点のものを対象とします。本稿では「Use Cases」の日本語訳を掲載します。
原文はこちらになります。
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ユースケース
分散型取引所(DEX)
Bitcoinが分散されていて大量に複製された台帳であることでもっとセキュアであるのと同様の方法を用いて、取引所をブロックチェーン上で稼働させることで内外を問わないハッキングに対してより脆弱性を少なくすることが可能である。
今日暗号通貨コミュニティがDEXと呼ぶものは「アトミッククロスチェーン(AXC)」トランザクションと呼ばれるものが元になっている。AXCトランザクションにより、異なる2つチェーンの2人のユーザが2つの移転トランザクションを生成し、一緒に両方の台帳にコミットするか、あるいは何もしない(つまり、不可分である)。例えば2人のユーザは、BitcoinとEnigmaが相互に接続していない場合であってもbitcoinとetherを交換できる(あるいは異なる2つの台帳で任意の2つのトークンを交換できる)。AXCトランザクション上で取引所を運営する利点は、ユーザが相手もトレードマッチングサービスもどちらも信用する必要がないという点である。欠点は両者がトレードするにはオンラインでなくてはならないという点である。
DEXのもう一つのタイプは自らのブロックチェーン上で稼働する大量複製されていて分断された取引所である。この種の取引所のユーザは指値注文を入れてコンピュータの電源を落としてよく、トレードはユーザがオンラインでなくても執行される。ブロックチェーンがトレーダーの代わりにトレードをマッチングして完遂する。
中央集権的な取引所は値幅の広い指値注文のオーダーブックを作ることができ、これによりたくさんのトレーダーを惹きつけている。流動性は取引所の世界にさらなる流動性を発生させるので、取引所ビジネスには強力なネットワーク効果(あるいは少なくとも勝者が大半を持っていく効果)がある。暗号通貨取引所のいまのリーダーは2,000万ドル/日の取引量があるPoloniexで、2番目は500万ドル/日の取引量があるBitfinexである。このような強力なネットワーク効果を考慮すると、AXCベースのDEXが中央集権的な取引所に取引量で勝ることはありそうもない。DEXが中央集権的な取引所と競争するには、指値注文ができて値幅の広いオーバーブックをサポートすることが必要だ。ブロックチェーン上のDEXだけがこれを提供しうる。
Tendermintはさらに高速なトランザクションコミットという利点もある。一貫性に犠牲にせずに高速なファイナリティの優先順位を決めることで、Cosmosのゾーンは高速にトランザクションをファイナライズできる。これは、取引注文トランザクションとIBCトークン移転の他ゾーンへの送受信どちらにも当てはまる。
今日に暗号通貨取引の状況を考慮すると、Cosmosの良いアプリケーションはDEX(Cosmos DEXとして知られている)である。トランザクションスループット能力とコミットレイテンシは中央集権的な取引所のそれに比肩しうる。トレーダーは指値注文を行い、両者がオンラインになる必要なく執行できる。そしてTendermint・Cosmosハブ・IBCにより、トレーダーは高速に取引所の入出金を行い、他ゾーンへ送受信できる。
他暗号通貨との橋渡し(ブリッジング)
特権を持つゾーンは別の暗号通貨のブリッジトークンのソースとしてふるまうことができる。ブリッジはCosmosハブとゾーンの関係に似ている。トークンが一方からもう一方へ動いたという証明を検証するために、どちらもが相手の最新ブロックに追いつかなければならない。Cosmosネットワーク上の「ブリッジゾーン」はハブだけでなく相手の暗号通貨にも追いつく。ブリッジゾーンを介して遠回りをすることで、ハブのロジックをシンプルにし、BitcoinのPoWマイニングのような他のブロックチェーンのコンセンサスストラテジの影響を受けずにすむ。
Cosmosハブへのトークン送信
各ブリッジゾーンのバリデータは特殊なABCIブリッジアプリケーションとともにTendermintを基盤とするブロックチェーンを動かすだけでなく、「オリジン」ブロックチェーンのフルノードを稼働させる。
オリジンブロックチェーンで新たなブロックがマイニングされると、ブリッジゾーンのバリデータはオリジンブロックチェーンチップのバリデータ各自のローカルビューに署名して共有することでコミットされたブロックに対して合意形成する。ブリッジゾーンがオリジンブロックチェーンで支払いを受け取ると(そして例えばEthereumやBitcoinのようなPoWチェーンの場合は十分なコンファメーションが確認されたと認められると)、対応するアカウントがその残高とともにブリッジゾーンに作成される。
Ethereumの場合、ブリッジゾーンは同じバリデータセットをCosmosハブとして共有できる。Ethereum側(オリジンブロックチェーン側)では、ブリッジコントラクトによりetherの所持者はEthereum上でブリッジコントラクトにetherを送信することでブリッジゾーンにetherを送ることができる。ブリッジコントラクトがetherを受け取ると、ブリッジコントラクトがブリッジゾーンから適切なIBCパケットを受け取らないそのetherは限り引き出せなくなる。ブリッジコントラクトはCosmosハブのバリデータセットと完全に等しいブリッジゾーンのバリデータセットを追跡する。
Bitcoinの場合、一つのブリッジコントラクトの代わりに、閾値マルチシグP2SH pubscripがUTXOをコントロールするという点を除けばコンセプトは似ている。P2SHシステムの制約のせいで、署名者はCosmosハブのバリデータセットと全く同一というわけにはいかない。
Cosmosハブからのトークン引き出し
ブリッジゾーン上のether(ブリッジイーサ)はハブと双方向に移動でき、Ethereumの特定の引き出しアドレスにブリッジイーサを送るトランザクションと一緒に後に消失する。トランザクションがブリッジゾーンで発生したことを示すIBCパケットは、etherを引き出し可能にするためにEthereumのブリッジコントラクトに送られる。
Bitcoinの場合、制約のあるスクリプティングシステムのせいでIBCのコイン移転メカニズムの模倣は困難である。UTXOそれぞれが独自のpubscriptを持つので、Bitcoinのエスクロー署名者の集団内で変更があると各UTXOは新しいUTXOに移行しなくてはならない。ソリューションの一つはUTXOの総数を少ないままにするために必要に応じてUTXOセットを圧縮・解凍するというものである。
ブリッジゾーンの総合的なアカウンタビリティ
このようなコントラクトのブリッジングのリスクは悪意のあるバリデータセットである。≥1/3のビザンチンな投票パワーがフォークを起こすと、ブリッジゾーンのブリッジイーサはそのままにしながらEthereumのブリッジコントラクトからetherを引き出すことができてしまう可能性がある。より酷い場合には、>2/3のビザンチンな投票パワーはブリッジゾーンのブリッジングロジックを逸脱してブリッジコントラクトにetherを送った者たちから完全にetherを盗むことができてしまう。
ブリッジを完全にアカウンタブルなものであるように設計することで、これらの問題に対処可能である。例えば、ブリッジゾーンのあらゆるステート遷移をハブやオリジンブロックチェーンのブリッジコントラクトが効率的に試行・検証できるようにするといった方法で、ハブやオリジンブロックチェーンからの全てのIBCパケットにはブリッジゾーンによる了承が必須であるようにする。ハブとオリジンブロックチェーンはブリッジゾーンのバリデータが担保を送ることができるようにすべきであり、ブリッジコントラクト外のトークン移動は独立の監査者があらゆる試行ができるように遅らせる(そして担保の解除期間は十分に長くとる)べきである。このシステムの設計仕様と実装は、Cosmosハブのガバナンスシステムに合格する将来のCosmos改善提案としてオープンにしておく。
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