簡単まとめ

Ethan BuchmanのTendermint論文を覗いてみる14

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本稿について

本稿は、Tendermintホワイトペーパーの詳細版ともいえるTendermint現CTOであるEthan Buchman氏の執筆論文をもとにTendermintについて見ていくシリーズです。冒頭に筆者による「簡単まとめ」を入れ、その後にもととなった部分の日本語訳を載せるという順番で書いていきます。

論文「Tendermint: Byzantine Fault Tolerance in Age of Blockchain」の原文はこちら

今回の対象範囲は第6章「Governance」のうち6.4「Software Upgrades」で、これを読むとTendermintのソフトウェアのアップグレードに関する考え方ついてやや詳しい内容が分かります。

原文はこちらになります。

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要点をまとめてみる

  • Governmintはソフトウェアアップグレードにも利用できる。
  • Governmintを用いたシステムでは、開発者はブロックチェーン上で識別可能なエンティティである。
    • 開発者はソフトウェアアップグレードに関する提案を出す可能性がある。
      • メカニズムは全体的にGithubのプルリクエスト(Pull Request)と非常に似ている。
      • Githubと違う点は、システム(ブロックチェーン)が現在進行形で動いていることと、合意はコンセンサスプロトコルを通じてやり取りされることだけである。
  • 非中央集権下でのアップグレードをインターネット上で行うことは非常に難しく、いくつものコミュニティの失敗から着想を得ている。

以下、今回取り扱った箇所の日本語訳なので詳細を知りたければどうぞ。

Chapter6. ガバナンス(続き)

6.4 ソフトウェアのアップグレード

潜在的に非中央集権的なネットワークでソフトウェアアップグレードの交渉を行う自然な方法としてもGovernmintを利用することができる。公になっているインターネット上でソフトウェアアップグレードを行うことは非常に難解なオペレーションで、すぐにはアップグレードを行わないユーザのための後方互換性を維持するための慎重なプランニングが必要であり、バグの混入や機能の削除、複雑化、あるいは最悪なことに許可なく自動的にアップグレードしてしまうことでソフトウェアのロイヤルユーザを動揺させないようにすることが必要である。

非中央集権的なコンセンサスシステムをアップグレードする試みは特にBitcoinと共に顕在化してきた。Ethereumは強力なリーダシップと一元化されたコミュニティのお陰で既に問題なく後方互換性を持たないアップグレードを成し遂げている一方で、Bitcoinは大量のソフトウェアエンジニアリング上の障害にも関わらず敵対的に分裂したコミュニティと強力なリーダシップの欠如のせいでいくつかの必要なアップグレードを実施できずにいる。

ブロックチェーンに対するアップグレードは典型的には変更の範囲によってソフトフォーク(soft forks)とハードフォーク(hard forks)に分けることができる。ソフトフォークは後方互換性を持ちプロトコル内で自由度を用いることになっていて、アップグレードしなかったユーザは無視する可能性があるがアップグレードを行ったユーザには新しい機能を提供する。それに対してハードフォークは後方互換性を持つアップグレードではないので、Bitcoinの場合はセーフティの侵害を引き起こす可能性があるし、Tendermintの場合はシステムの停止を引き起こす可能性がある。

問題に対処するため、Bitcoinソフトウェアの開発者は新しいブロックでシグナルを出すことでバリデータが投票できるようにするための一連のソフトフォークを実施した。ひと度所定の閾値分のバリデータがその更新に賛同するシグナルを発生させると、少なくともその更新をサポートするバージョンのソフトウェアを使うユーザに関してはネットワーク全域で更新が自動的に効力を発揮する。これらのソフトフォークのお陰でBitcoinシステムの実用性は途轍もなく大きく成長し、今後の更新の理由から引き続きそのようなことが続いていくことが期待されている。面白いことに、問題なくソフトウェアをハードフォークしようとするコミュニティの失敗はシステムの長期的な安定性に関して懸念を喚起した一方で、ガバナンスの崩壊に対するシステムの抵抗力、つまり被統治性の欠如について刺激とインスピレーションを湧き起こしてくれた。

今日の世界において非常に多くのガバナンス崩壊が顕在化していることを考慮すれば、後に述べた方のスタンスを取る理由はたくさんある。それでもやはり暗号理論と分散型コンセンサスは、ある程度の透明性とアカウンタビリティを実現するツール群をもたらすのである。これらの透明性やアカウンタビリティは、現代政府の存在する紙とペンが主流の世界は当然として、従来のウェブが存在する電子世界であっても十分に堅牢な認証システムの欠如に大いに悩まされていて想像できなかったものである。

Governmintを用いたシステムでは、開発者はブロックチェーン上で識別可能なエンティティで、ソフトウェアアップグレードに関する提案を出す可能性がある。このメカニズムはGithubのプルリクエスト(Pull Request)と非常に似ていて、いままさに動いているシステムに統合されて合意はコンセンサスプロトコルを通じてやり取りされるだけである。クライアントは設定可能な更新パラメータで記述されるべきで、そうすることで自動更新するかまず通知を必要とするかを明確にすることができる。

もちろん、十分に吟味されていないソフトウェアアップグレードはどんなものでもシステムに危険をもたらすので、一般的にコンサバティブなアップグレードアプローチが採用されるべきである。

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邦訳には誤りがある場合がございます。予めご承知おき下さい。

確実な情報を知るためには冒頭に示した原文をご参照くださいますようお願いいたします。

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