簡単まとめ

【簡単まとめ】DFINITYをFAQから見てみる1(全般的な質問編)

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DFINITY本家のFAQページをもとに、DFINITYについて見ていきます。

これを読むとDFINITYとはそもそも何なのかやEthereumに対する位置づけはどうなっているのか等についてざっくりと知ることができます。

要点まとめ

まず、本記事の要点をお伝えします。

  • DFINITYは「非中央集権型のコンピューティングクラウド」である。
  • Ethereumと完全な互換性があり、Ethereumで動くDappはDFINITYでも動く。
  • DFINITYとEthereumの違いは、まずEthereumをはるかに超えるパフォーマンス・スケーラビリティ・相互運用性を追求していること、次にコードが法であるという考え方ではなくBNSという分散型AIによるガバナンスを導入していることである。
    • しかし、こういった違いによりEthereumと競合関係になるのではなく、むしろEthereumのエコシステムを強化すると考えている。それは、DFINITYはコードが法であると困る層(ビジネスシステム、コンシューマー向けアプリケーションなど)に対するソリューションであって、ユーザは自身に適していると思う方を選べるからである。
  • Stiftung DFINITYは、DFINITYの支援財団である。
  • DFINITYはTom DingやTimo Hankeといったクリプト界隈の有力者をチームに迎えて体制を整えている。
  • DFINITYのリリースはCopper⇒Zinc⇒Tungstenの順に進む。Tungstenの後にもリリースは控えている。

次に詳細としてDIFINITY本家による英文FAQページの日本語訳を掲載します。細部を知りたい方は読み進めてください。

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全般的な質問

DFINITYとは?(What is DFINITY?)

DFINITYはクライアントコンピュータのパブリックネットワークのことであり、「非中央集権型のワールドコンピューティングクラウド」を提供します。この「非中央集権型のワールドコンピューティングクラウド」ではソフトウェアをインストールして動かすことができ、従来のブロックチェーンでホスティングされる「スマートコントラクト」を利用するシステムに期待される一般的なメリットを享受できます。基盤技術も非常に耐性の強い不正防止機構がついたプライベートクラウドをサポートするように設計されているため、ホスティングされているソフトウェアをパブリッククラウド上のスマートコントラクトから呼び出すことができるというメリットもあります。

DFINITYはEthereumと同系列のテクノロジなので、パブリックなEthereumネットワークと完全な互換性があります。つまり、Ethereumで動くDappはDFINITYでも動きます。しかしながら、EthereumとDFINITYとの間にはいくつか根本的な違いがあり、違うものを提供している本当の姉妹のようなシステムです。まず、DFINITYは新しくcrypto:3というプロトコルとテクニックを導入している点が異なっています。crypto:3を導入することで、極めて高いパフォーマンスや無制限のスケーラビリティ、相互運用性などといったメリットを追求しています。次に、ガバナンスの考え方が異なっています。Ethereumは「コードが法である」という立場であるのに対して、DFINITYはBNS(Blockchain Nervous System, ブロックチェーン神経システム)という非中央集権型のインテリジェンスによるガバナンスを導入しています。これらの違いはトレードオフの関係にあり、DFINITYはEthereumエコシステムにおける新しく面白い拡張機能としての位置づけであることをとてもよく理解しているので、いっそうこの性質を高めていきます。

DFINITYはいつから活動するの?(When will DFINITY be live?)

DFINITYで用いられている技術要素はディセントラライズなテクノロジに関心のある人向けにパブリックドメインに順次公開していっています(例えば、閾値リレーとして知られている重要な技術に関するソフトウェアが既にパブリックドメインに後悔されています)。「Copper Release」(筆者注:DFINITYのリリーススケジュールのうち、一番最初のリリースをCopperと呼んでいる)のクライアントソフトウェアを使って作成したベータ版ネットワークは2018年第1四半期の終わりごろに予定されています。Copperネットワークがラウンチされるのは2018年第2四半期の終わりごろと予想されます。DFINITYの支援財団であるDFINITY Stifungはツーク州で設立され、仕事を手助けしてくれます。

DFINITYはEthereumの競合?(Is DFINITY an Ethereum competitor?)

DFINITYはEthereumエコシステムの拡張機能だと考えられます。Ethereumの妹のようなワールドコンピュータネットワークでパフォーマンスとスケーラビリティを優先し、DFINITYではスマートコントラクトは非中央集権型のインテリジェンスに従属します。これはEthereumの「コードが法である」という考え方とは大きく異なるものです。これにより、分散型のAIによるパフォーマンスと非中央集権型のガバナンスで解決できるようなこれまでとは異なるニーズを持った人々がエコシステムに流入してきます。もちろん、私たちが提供する機能は何らかの設計上のトレードオフがあります。Ethereumのエコシステムはより大きく、より魅力的になります。なぜなら、ユーザが自身に適すると思う方を選べるからです。DFINITYのエンジニアや研究者はみなEthereumとオープンソースを非常に大切に思っています。私たちはEthereumとの互換性を最大限維持し、Stiftung DFINITYは資金調達とEthereumプロジェクトへの尽力に貢献します。

DFINITYはどうやってEthereumを強化するの?(How does DFINITY strengthen Ethereum?)

これはゼロサムゲームではありません。たった今も数多くの非中央集権型プラットフォームが覇権争いをしています。Ethereumのエコシステムでは、モノカルチャーを避けることで勝てます。例えば、1990年代は多くのハードウェアプラットフォームが覇権争いをしていました。その中にはPowerPCやSPARC、8086系統のアーキテクチャもありました。最終的には8086(筆者注:当時Intel社が開発した16ビットマイクロプロセッサ)が他を大きく引き離して勝利しました。勝因は、8086がたくさんの選択肢を提供する多様性のあるエコシステムだったからでした。DellやHP、その他多くの企業が当時支配的/独占的だったその他の企業よりも単体としては大きくなりましたが、最終的には市場からいなくなるか8086へと移っていきました。これが、私たちがEVMとEVM上で動くシステムに対して持っているヴィジョンです。DFINITYはEthereumネットワークの価値を高めると確信しています。

分散型AIによるガバナンスを導入する理由は?(Why introduce governance by a distributed AI?)

DFINITYのBNSはとある人たちに関わる一連の重要な問題を解決するとともに、BNSによって現在のアーキテクチャの限界をはるかに超えて開発を加速します。ビジネスの観点からは、多くの組織は大量のシステムやアセットを非中央集権型のクラウドに簡単には移動できません。仮にシステムがデッドロック状態になってしまったりハッキングされてしまった場合、「コードが法である」とするアプローチが解決法を模索する際の障害となるからです。また、多くの潜在的なコンシューマー向けアプリケーションにおいて、ユーザに対してユーザ自身が読むことのできないスマートコントラクトコードの瑕疵の責任を持たせるというのは不公平というものです。BNSは、任意の権限を持つコードを実行することで、このような状況に対応し、そしてしばしば折り合いをつけます。一般的に言って、BNSは"dfinities"の価値を最大化するように意思決定を行う傾向があります。そして、悪意ある行為や破壊を主目的とするシステムを凍結すべきであると定める初めてのいわゆる"法"は、BNSの意思決定によりその訴求力を拡大するので、"法"が維持されていくことになると私たちは考えています。ハードフォークという概念はありません。古くからあるgethやparity(どちらも主なEthereumクライアント)などのクライアントソフトウェアはプロキシ内でラップされていますが、BNSもそのことはよく分かっています。BNSは依存しているアプリケーションやユーザに影響を与えることなく内部クライアントを継続してアップデートすることができます。

Gmailのような大規模オンラインサービスの非中央集権版をホスティングするって本気で言ってるの?(Are you serious about hosting decentralized versions of massive online services like Gmail?)

はい。DFINITYのプロトコル研究は、ネットワークが百万以上のマイニングコンピュータを内包できなければならないとしたらどうかという仮定と、さらに数百万のマイニングコンピュータに大規模な仮想マシンキャパシティが必要(つまり、スケールアウトが必須)だとしたらという仮定から始まりました。また、研究目標にはネットワークが異なる計算上の要件を満たす方法について考察することも含まれています。例えば、多くのやり方でウェブ検索を広範な非中央集権型のネットワークに適したものにすることができますが、結果を素早く返してほしいというニーズを満たすには、有効な計算をスケジューリングする方法に関してエンジニアに柔軟性が与えられていることが必要です。このような考察はDFINITYの考え方に織り込まれています。

What kind of major businesses do you hope might have open and decentralized competitors?

(筆者注:現時点でまだ回答されていません。)

DFINITYのインスピレーションはどこから得たの?(Where does the inspiration for DFINITY come from?)

別段驚くようなことはありませんが、DFINITYの元を辿ればサイファーパンクと非中央集権の考え方に行き着きます。しかし、紆余曲折もあります。1999年、Dominic WilliamsはWei Daiのcrypto++ライブラリを使っていて、bMoneyという提案と出会いました。bMoneyは重要性を感じさせるものでしたが、Dominicはドットコム時代のテクノロジに取り組むので精いっぱいでbMoneyをフォローアップする時間はありませんでした。彼は独自に分散コンピューティングとスケーラビリティへの興味を深めていきました。彼が2010年にラウンチしたMMOゲームは300万ユーザを誇るまでに成長し、彼の開発したテクノロジに大きく依存していました。2013年、Dominicは非中央集権型のテクノロジに集中すべくこれまでしてきたものを全て手放し、2014年以降ずっと取り組んでいます。DFINITYは、スケーリングのニーズと関係していたPebbleというプロジェクトの初期に生まれたものです。

DFINITYの成長の原点は?(How did DFINITY start growing?)

2015年、DominicはTom Dingと組みました。Tom Dingは、クリプト界隈のアントレプレナーであり、Palo Altoに本拠を置くインキュベーター兼投資家のString Labsというクリプトスタジオの共同創設者でもあります。詳細な理論基盤が既にあったことと、AIの統治するワールドコンピュータの「非中央集権型クラウド」だけが容易に提供できる機能性に対する需要の逼迫もあったことにより、String LabsはDFINITYが実用化に向けたインキュベーションに役立つ最初のプロトコルになるだろうと判断しました。その後、かつてASIC Boostを設計した暗号学者のTimo Hankeもコアチームに参加しました。Stifung DFINITYは、DFINITYプロジェクトを次のステージへ進めるために創設されました。

DFINITYと学術研究とのつながりは?(Is DFINITY linked to academia?)

入念に連絡を取り合ってはいるものの、間接的な結びつきに留まっています。私たちはスタンフォード大学近郊におり、Dominicの設計はランダム性を生み出すためのBLSアルゴリズムの適用をとても当てにしています。BLSアルゴリズムはDan Bonehand博士が設計したものです。Dominicはイベントに出席し、普段はキャンパスで講演をしています。スイス連邦工科大学ローザンヌ校(École Polytechnique Fédérale de Lausanne, EPFL)のDEDIS(Decentralized and Distributed Systems)には、いつでもフルタイムでDFINITYに取り組んでくれるメンバーが2人います。DFINITYに先駆けて、2014年、Pebbleプロジェクトは今や暗号界隈への関心でよく知られているAndrew MillerやElaine Shi、Steve Omohundro、Ferdinando Ametranoなどの何名かの学者を取り込みました。DFINITYは大きく異なるシステムを使いますが、Honey Badger(筆者注:当然動物のラーテルのことでもなく、仮想通貨を販売をしているカナダのKioskのことでもなく、HoneyBadgerBFT(正式にはThe Honey Badger of BFT)のこと。タイミング・アサンプションを作らない完全非同期BFTプロトコルであることが特徴。なお、BFTはビザンチン・フォールトトレラント性のこと)はPebbleで独自に利用されていた分散コンセンサスの手法と密接に関係しています。DFINITYでは何名かの学者を貢献者とみなしています。また、関心を持ってくれる方はどう支援できるのか明らかにすべく、私たちにコンタクトしてほしいと考えています。

どうすればDFINITYの関係者に会える?(How can I meet DFINITY people in person?)

私たちはシリコンバレーや世界各地の、特にクリプトカンファレンスにいます。hello@dfinity.orgまでお気軽にご連絡ください。

DFINITYのリリーススケジュールは?(Does DFINITY have release schedule?)

あります。最初の3つのクライアントリリースは以下です。

  • Copper (開発中)
    公正かつ予測不能かつ分岐不可の内部生成されるランダム性を用いてネットワークを動かすDFINITYの「閾値リレーチェーン」システムを基盤として使って、CopperはEthereumより少なくとも50倍速く計算をファイナライズするとともに、スループットの最大値も非常に高くなると考えられます。完全な機能を有するBNSにより、将来的なプロトコルのアップグレードは簡単になるでしょう。動的にロードされ、BNSによりハッシュが明示されている「プロトコルライブラリ」を介してクライアントはネットワークとインタラクションし、これによりBNSはプロトコルのマイナーチェンジや最適化をユーザに影響することなく急いで行うことができます。
  • Zinc
    DFINITYプライベートネットワーク上のソフトウェアを、パブリックまたはオープンなDFINITYネットワーク上のソフトウェアへアトミックに呼び出しをすることができます。
  • Tungsten
    閾値リレーにより生成されるランダム性の構築が済むと、TungstenではネットワークがマイナーとともにスケールアウトできるようなDFINITYシステム、つまり、USCIDやValidation Tower、Validation Tree、マイクロシャード(マイニングコンピュータはたくさんのシャードに所属します)を導入します。メインチェーンは「レガシーシャード」になるでしょう。新しい高速なシャードに自動的にデプロイされるソフトウェアは、非同期メッセージ伝達モデルを採用して他のシャードにあるソフトウェアとシームレスに相互運用します。1ブロックのトランザクションや計算を抑えていた過去の基本的な制限は撤廃され、デーモンやその他役立つ新しい形式の自律システムを制作できるようになります。

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