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EOSテクニカルホワイトペーパー日本語訳6

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 本稿について

本稿では、EOS.IOのTechnical White Paper v2のうち「Token Model and Resource Usage」の日本語訳を掲載します。

原文はこちらになります。

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トークンモデルとリソースの取扱い

ご注意:本ホワイトペーパーで触れられている暗号トークンは、EOS.IOソフトウェアを採用するラウンチ済みのブロックチェーンの暗号トークンを指します。EOSトークンの配布関連でEthereumブロックチェーン上で配布れされているERC-20互換のトークンのことを指すものではありません。

全てのブロックチェーンはリソース制約型であり、攻撃を防ぐシステムが必要です。EOS.IOソフトウェアを利用するブロックチェーンでは、アプリケーションによって消費される3つの主なクラスがあります。

  1. 帯域幅とログストレージ(ディスク)
  2. 計算と計算バックログ(CPU)
  3. ステートストレージ(RAM)

帯域幅と計算は2つの構成要素、すなわち瞬間的な使用と長期的な使用があります。ブロックチェーンは全てのアクションのログを維持しており、このログは結局のところ全てのフルノードに保存・ダウンロードされます。アクションログにより、全てのアプリケーションの状態を再構築することができます。

計算の負債はアクションログから状態を再生成するために演算しなければならない計算です。もし計算の負債が大きくなりすぎると、ブロックチェーンの状態のスナップショットを撮るとともにブロックチェーンの履歴を破棄することが必要になります。もし計算の負債があまりに早く大きくなると、1年分のトランザクションを再生するのに6ヶ月かかってしまうかもしれません。従って、計算の負債を注意深く管理することが大切です。

ブロックチェーンのステートストレージはアプリケーションロジックからアクセスできる情報です。これにはオーダーブックや口座残高のような情報が含まれます。もしアプリケーションから状態が決して読み込まれないのであれば、それを保存するべきではありません。例えば、ブログの投稿内容とコメントはアプリケーションロジックによって読み込まれないので、それらはブロックチェーンの状態に保存されるべきではありません。一方で、投稿やコメントの存在や票数、その他の試算はぜひともブロックチェーンの状態の一部として保存されるべきです。

ブロック生成者は帯域幅や計算、状態に関して利用可能なキャパシティを公表します。EOS.IOソフトウェアは、各アカウントが3日間のステーキングコントラクトにおいて保有されていたトークンの総量に釣り合う一定割合の利用可能なキャパシティを消費できるようにします。例えば、EOS.IOソフトウェアに基づくブロックチェーンがラウンチされ、あるアカウントがそのブロックチェーンに準拠していて分配可能なトークン総量の1%を保有していたとすると、そのアカウントはステートストレージキャパシティの1%を利用する可能性があります。

ラウンチ済みのブロックチェーンでEOS.IOソフトウェアを採用することは、帯域幅と計算キャパシティが部分準備に応じて割り当てられることを意味します。なぜなら、割り当てられる帯域幅と計算キャパシティは一時的なものだからです(未使用のキャパシティを将来の利用のために取っておくことはできません)。EOS.IOソフトウェアによって使用されるアルゴリズムは、帯域幅使用量の制限をするためにSteemに用いられているアルゴリズムと似ています。

客観的測定と主観的測定

前述のように、計算の使用量を精緻化することはパフォーマンスと最適化に顕著に影響します。従って、全てのリソース使用制約は究極的には主観的で、実行はブロック生成者によりそれぞれのアルゴリズムと見積に基づいてなされます。これらは基本的にブロック生成者がカスタムプラグインを記述することを通じて実装されます。

とは言え、ありきたりなもので客観的に測定できるものもあります。配信されたアクション数や内部データベースに保存されているデータサイズは客観的に測定するには安上りなものです。EOS.IOソフトウェアはブロック生成者が同一のアルゴリズムをこれらの客観的な測定に適用できるようにしますが、主観的な測定結果に対してはより厳格な主観的アルゴリズムを適用することを選択する可能性があります。

受取主の支払い

伝統的に、企業を経営する上で必要となるオフィススペースや計算能力、その他の費用の支払いは事業です。顧客は会社から特定の商品を購入し、商品の売り上げによる収益は事業運営費を賄うのに使われます。同様に、ウェブサイトをホスティングするための費用を賄うのために、ビジターにウェブサイト訪問の少額決済を行う義務を負わせているウェブサイトはありません。従って、Dappsは、ブロックチェーンの使用料として直接的に顧客にブロックチェーンへの支払いをさせるべきではありません。

EOS.IOソフトウェアを使ってラウンチされたブロックチェーンはその利用によって利用者がブロックチェーンに対する支払いをすることは必須ではなく、従って、ある企業が商品に対する独自のマネタイズ戦略を決めることを制限したり妨害したりしません。

受取主が支払い可能であることは事実ですが、EOS.IOは送信主が帯域幅や計算、ストレージに対して支払いできるようにします。これは、アプリケーション開発者がアプリケーションにとって最良の方式を採用する力を与えます。多くの場合、送信者払いは、自身の割当システムを実装したくないアプリケーション開発者にとっての複雑性を顕著に削減します。アプリケーション開発者は利用者に帯域幅と計算を委任し、"送信者払い"モデルの利用を強制します。エンドユーザの観点では無料ですが、ブロックチェーンの観点では送信者払いです。

キャパシティの委任

EOS.IOソフトウェアを採用してラウンチされたブロックチェーンにトークンを保有していて利用可能な帯域幅の全部または一部をすぐに必要とする可能性のない人は、そのような空いている帯域幅を他の人に委任したり貸したりすることができます。そのようなブロックチェーン上でEOS.IOソフトウェアを稼働させているブロック生成者は、キャパシティの委任を認識し、それに応じて帯域幅を割り当てます。

トークン価値とトランザクションコストの分離

EOS.IOソフトウェアの主な利点の一つは、アプリケーションに利用できる帯域幅があらゆるトークン価格から完全に独立していることです。もしアプリケーションの所有者がEOS.IOソフトウェアを採用するブロックチェーン上に適量のトークンを保有していれば、アプリケーションは固定の状態と帯域幅使用の内で無期限に動くことができます。そのような場合、開発者と利用者はトークン市場におけるあらゆる価格のボラティリティの影響を受けず、従って、プライスフィードを頼りません。言い換えれば、EOS.IOソフトウェアを採用するブロックチェーンでは、ブロック生成者がトークン価値に依存することなくトークンあたりの利用可能な帯域幅や計算、ストレージを自然に増やすことができるのです。

EOS.IOソフトウェアを使用するブロックチェーンはまた、ブロック生成者がブロックを生成するたびに彼らに報酬を付与します。トークンの価値は、生成者が購入する余裕のある帯域幅やストレージ、計算の量に影響するでしょう。このモデルは、トークン価格の上昇を自然に利用してネットワークパフォーマンスを向上させます。

ステートストレージコスト

帯域幅と計算を委任することはできても、アプリケーションステートのストレージは、アプリケーション開発者が当該のステートが削除されるまでトークンを保有することを必要とするでしょう。仮にステートが決して削除されないのであれば、トークンは事実上流通から取り除かれます。

ブロック報酬

EOS.IOを採用するブロックチェーンは、ブロックが生成されるたびにブロック生成者に新しいトークンを付与するでしょう。これらの事情で、発行されるトークンの数量は全てのブロック生成者が公表する希望額のメジアンで決定されます。トークン供給の1年間の合計増加量が5%を超えないように生成者の報酬上限を強制するようEOS.IOソフトウェアを設定する可能性があります。

作業者提案システム

EOS.IOソフトウェアをベースとするブロックチェーンに従って、ブロック生成者を選出することに加えて、トークン保有者はコミュニティに利益をもたらすために作られた多くの作業者提案を選出することができます。選ばれた提案には、最大で設定済みのトークンインフレ率からブロック生成者に支払われる分を差し引いたトークンが与えられます。これらの提案は、各アプリケーションがトークン保有者から受け取った票数に比例して、最大で作業を行うにあたって要求される分までのトークンを受け取ります。

作業者提案を実装するシステムコントラクトは、2018年6月の初ラウンチ時点では実施されていないかもしれませんが、ファンディングメカニズムは実施されているでしょう。ブロック生成者報酬が始まると同時に、資金の蓄積も始めます。作業者提案システムがウェブアセンブリに実装されたら、フォークせずに後日作業者提案システムを追加できるでしょう。

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