本稿について
Bitcoinマイニングプールのインセンティブ設計について協力ゲーム理論の観点から分析したLewenbergらの論文を見ていきます。本稿では「Abstract」を見ます。
原文はこちらになります。
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Bitcoinマイニングプール: 協力ゲーム理論分析
Yoad Lewenberg1 yoadlew*cs.huji.ac.il
Yoram Bachrach2 yobach*microsoft.com
Yonatan Sompolinsky1 yoni_sompo*cs.huji.ac.il
Aviv Zohar1 avivz*cs.huji.ac.il
Jeffrey S. Rosenschein1 jeff*cs.huji.ac.il
1:イスラエル、エルサレム・ヘブライ大学、コンピュータサイエンス工学校
2:イギリス、ケンブリッジ、マイクロソフト研究所
今回のまとめ
- マイニングプールは低い通信レイテンシのおかげで上手に参加者と連携でき、報酬の面でわずかにアドバンテージがある。
- 協力ゲーム理論に基づいてマイニングプールの報酬分配をした結果、特にトランザクション負荷の大きい場合には安定した分配が困難または不可能であり、一定の参加者にとってマイニングプールを移る理由になる。
※以下、今回まとめた範囲の論文和訳になりますので詳細をご覧になりたい方は読み進めてください。
要諦
Bitcoinはコアセキュリティをプルーフオブワークに依拠する革新的な非中央集権型の暗号通貨である。「プルーフオブワーク」にはネットワークの参加者に巨大な検索空間からインプットについて繰り返しハッシュ計算をしてもらう必要がある。極めて小さなハッシュ値を生成する稀有なインプットを見つけることが試行の成功とされ、その報酬としてBitcoinが支払われる。
マイナーの参加インセンティブである報酬の割当は大きな分散を伴うランダムプロセスである。ゆえに安定した収入を望むマイナーはメンバ間で獲得報酬を分かち合う「マイニングプール(mining pool)」に参加して分散を減らす。マイニングプールは低い通信レイテンシ、いわゆる他よりもわずかに高い報酬を何とか集めることを示す事実のおかげで、他よりもわずかではあるが上手に参加者と連携している。
私たちはプールマイニングのダイナミクスとプールが何とかして集めようとしている報酬について研究を行い、協力ゲーム理論のツールを用いてどのようなプールのメンバが報酬をシェアするのかを分析する。いくつかのネットワークパラメータに関して、特にトランザクションのロード負荷が高い環境下では安定した方法で報酬を分配することが困難、場合によって不可能であることを明らかにする。つまり、いくらかの参加者には常にプールを切り替えるインセンティブが付与されている。
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