ホワイトペーパー翻訳系
翻訳対象とするホワイトペーパーの基準は主に次のようになります。
- まだ日本語訳が出ていないこと(日本語訳が出ている場合であっても、誤りなどがあり正しく情報が伝わらないと思われる場合はこの限りでない)
- 筆者が技術的に興味をそそられたものであること
- 海外と日本の間で情報格差があること(海外で話題になっているが日本で話題になっていない、海外で研究が進んでいるが日本ではその情報が伝わっていない 等)
以下はこれまでホワイトペーパーの日本語化に取り組んだor取り組んでいる暗号通貨・トークンになります。
DFINITY(準備中)
初めに声を大に...はできないので文字を大にして書いておくが、「DIFINITY」ではなく「DFINITY」です。DFINITYを愛してほしいけど、Iはいらないよ。
翻訳動機は次の4つ。
- EOSつながりで、高速なコンセンサスを持つ事例として詳しく見てみたかった。
- この直前に簡単まとめシリーズで紹介したRaiden Networkで触れられていて少し気になった(本当はRaiden Networkのホワイトペーパーがあればそちらを翻訳したかったけど、まだないのよね)。
- 某所で某O先生が触れていた。
- 「DFINITY ホワイトペーパー」で検索して出てきた日本語訳サイトがGoogle翻訳べた張りで本当に興味のある人にとって...うん、みなまで言わずともよかろう。
Golem Project(完結済)
複数のホワイトペーパーでGolemの名前を目にするようになり、気になって取り組んでみた。
Golemの目指すところは「計算パワーのディセントラライズドなマーケット」であり、ハードウェアの進化による処理速度の高速化と相まってこれまでに時間がかかった"重たい"処理を短時間で終わらせられるということは新しいビジネスを切り開くことになると考えている。
今回の翻訳対象はCrowdfunding Whitepaperであるためクラウドファンディング寄りの内容が書かれているが、しっかりとロードマップ(Brass、Clay、Stone、Iron Golemの納品時期のめどと、各段階のGolemで実装される機能とその時期目安)も示されており分かりやすい。個人的に期待しているプロジェクトの一つ。ちなみに、クラウドファンディングは成功裏に終わり、上限として設定されていた820,000ETHの資金調達を完了した。
EOS.IO(完結済)
Ethreumの競合となるようなDappsのプラットフォーム。ブロックチェーンと聞くとその一つの性質として「何らかの管理者によってコントロールされないものであること」が思い浮かぶが、EOS.IOは「Governance」という単語を使っているように何らかの管理主体を想定しているようで、その点が気になり翻訳に着手した。
内容としては、やはり何らかの主体がいて、それがEOS.IOを使ってDappsを開発してブロックチェーンの恩恵を享受でき、かつユーザにもメリットがあるというもので、ブロックチェーン技術に管理者はあってはならないというような原理主義的な人は拒否反応を起こしそうな内容ではあるが、現在の社会に合わせた現実解の一つなのかなあという印象を受けた。
その他の主なメリットとしてはスケーリングの容易さや究極的には秒間数百万txという野心的な目標設定が掲げられている。これからDappsが主流になっていくとすれば、その時代の流れに適応した処理速度やスケーリングができることは生き残るプラットフォームとして必須の要件となるだろうから、プロジェクトとして良い方向を見ていると思う。
トークンが無価値だと騒がれているが、ホワイトペーパーにて2度も述べられているように、Ethereum上で資金調達のために発行したトークンとEOS.IOを採用して作られるトークンを一緒に論じるべきではない(名前が一緒な点はミスリードを狙ったのではと思われる節もないわけではないが...)。
Enigma(完結済)
至る所で呪文のようにEnigma、Enigmaと聞くようになり、勉強しなければ、と思ったのがホワイトペーパー日本語化のモチベーションとなった。既にブロックチェーン界隈で著名な某氏の日本語訳がウェブ上に出回っているので躊躇いもあったが、図などが省略されている点や、技術的・数学的な表現を多少なりとも噛み砕いた方が分かりやすいかなと思う点もあったので、そこら辺を補足しつつ勉強がてら書いてみようという気になった。
Enigmaの極めて重要な特徴は「多数のノードを使って演算ができるのに、生データが絶対に漏れない」という魔法のような仕組みと「ノードを増やすことでスケーリングができる」ことの2つ。対数深度フォーミュラのsMPCを階層を成すようにつないで加算・乗算をできるようにすることでこれを実現した。えてして知られたくないデータの処理はプロセスが膨大になるものだが、トラストな何某か介することもなく、処理に関与するノードにデータを漏らすこともなく処理ができ、なおかつそういったセンシティブデータが増えてもスケーリングして対応していけるところが素晴らしい。
ディセントラライズな視点から知られたくないはずのセンシティブデータがトラストな管理主体(国家、銀行、etc...)に預けられている現状を痛烈に批判するとともに、ディセントラライズなやり方で将来のEnigmaで計算するであろうセンシティブデータが増えても対応できるよう設計できている。
これまでに日本語化したホワイトペーパーの中で、最も技術的かつ論理的で信頼できるホワイトペーパーとの印象を受けた。個人的に期待しているプロジェクトの一つ。こういうしっかりしたホワイトペーパーが増えたらいいのになあ。非ネイティブ的にはちょっと読むのが大変になるけど...。
Verge(完結済)
匿名通貨の一種。個人的には、匿名技術への期待などではなく、成人向けの某サイトの支払い手段の一つとして採用されて、ユースケース的に面白いと思ったのが日本語化のモチベーションとなった。
ただ、ホワイトペーパーの中身は新しいコンセプトや技術的な革新性、他のコインに対する優越性が述べられているわけではなく、つまるところ「どうして他の通貨ではなくVergeを使うのか」は分からないという印象を受けた。別にZcashでもDASHでもMoneroでもよくなーい?というわけで特に期待していないプロジェクト。
KyberNetwork(完結済)
かねてからDEXには興味があったが、海外だけでなく日本でコインチェックのNEM盗難という大事件が起きたことがDEX関連のホワイトペーパーを日本語化してみるモチベーションとなった。
正直、Bancorなどの先行している有力なプロジェクトもあったので、どのDEXにしようかと迷っていたが、ぱっと読んでみて2018年中ごろ(=執筆時点で少し先の将来)から面白くなりそうだと思ったので取り組んでみた。少し期待しているプロジェクトの一つ。
原文に忠実な訳を目指しすぎて日本語的に少し変な文章になったので、暇を見つけて更新予定。
スポンサードサーチ
レビュー系
暗号通貨界隈でいろいろと活動していて、個人的に詰まったことや気になったこと、問題点、意見などをつらつらと書いています。